わたしは驢馬(ロバ)に乗って下着をうりにゆきたい
普段 自分がなにかをはじめる時には、「絶対に会社の旗を作るんだ。」そう決めていました。
立派じゃなくてもいい、自分たちの身の丈に合った旗。
ちゃんと主張を持って私たちはここにいます。と振れるような大きな旗。
子供の頃に見た、トムソーヤが作ったみたいな旗。
毎朝、よしやるぞ。と思える旗。
よく晴れた日に屋上でひらひらとはためく旗、そんな旗にしよう。とずっと頭の中で思い描いてきました。
もうすっかりぼろぼろになった本があります。
「わたしは驢馬(ロバ)に乗って下着をうりにゆきたい」
新聞記者だった鴨居羊子という女性が新聞社を辞めて、全くのゼロから下着会社「チュニック」を興していく過程を描いた本です。
手に取ったのはきっとたまたまだったのだと思います。
けれど、20代そこそこだった当時の私は、この本の著者であり、主人公鴨居羊子さんの本の中から溢れんばかりのパワー、今にみておれ。という反骨心。
ずんずんと自分一人で切りひらいていくカッコよさのとりこになり、私もこんな風に何かを作りたい。と毎日のようにこの本を読んでいました。
もんぺやの旗を作ったのも鴨居さんの影響です。
鴨居さんが新たに会社のビルを借りたとき、屋上に3つの美しい色の社旗を作りました。
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旗をかかげるといっても、何もこの旗のもとで朝礼をしたり訓示があったりするわけではない。三角形のビルのてっぺんに美しい色の旗がひるがえると、けっこう大きな外洋船を動かしているような錯覚が楽しかった。しかしこの時代を私の〝フラッグの時代゛と呼んでもいいほど風と光はためく旗に私たちは希望を託した。(本文より)
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全くの素人が友達の部屋で自ら下着のパーツを作るところからはじめて、一坪の事務所、河沿いの掘立小屋、そしてビル。と段々と会社が大きくなって鴨居さんが活躍していく様子と屋上の旗がはためくイメージが見事にマッチして、その旗のシーンがかっこよく、とてもまぶしく見えました。
いま、久しぶりにこの本を読み返してみて、旗のシーンだけではなく、端々の色々なところに鴨居さんの影響を受けているんだな。と改めて感じます。
そして、そんな鴨居さんの影響を受けたもんぺやの旗がこちらです。
ホームページを開くとまず一番に目に入るこの旗のロゴもこの旗をモチーフに作られています。
洗いざらしのくたくたになったもんぺをそのまま木に結わえつけたような、人間くさい生活のにおいのする旗。 この旗とロゴはもんぺやのコンセプトの象徴です。
今、その時のあなたを生かす
もんぺは今、その時のあなたを生かして着ることの出来る服です。
洋服にはない柄の新鮮さ。 また、その機能的でシンプルな形ゆえ、
性別、年代、体型を問わずはいて頂くことが出来ます。
(それは、今その人のまま着こなすことが出来るということ)
もんぺやは、その人の今を肯定したいのです。
嬉しい時にはもんぺをはいて踊りましょう。
悲しい時にはその悲しみはもんぺとともにザブザブ洗って下さい。
もんぺはくりかえし洗うことで、柔らかく着心地が増し、よりあなたに沿うものになっていきます。
もんぺやはあなたにしわが増えていく様子も老いていくことも肯定したいのです。
そうして、いつまでももんぺと共にあなたの今に寄り添って行ける存在であることを願い、ここに記します。
もんぺや 店主 中西あゆみ
このコンセプトの通り、いつまでももんぺと共にあなたの今に寄り添って行けるよう、旗とロゴに決意を込めています。